車椅子生活になると、昼間の姿勢が変わるだけではなく、夜の寝姿勢も以前とはまったく違う負担が出てくる。
「寝ても疲れが取れない」「起きたときに体が痛い」「夜に何度も目が覚める」──こうした悩みは多くの脊髄損傷者に共通しがち。
僕自身、寝具は何度も買い替えてようやく“これだ!”というものに出会えたタイプ。
この記事では、車椅子ユーザーが特に気をつけたい寝具の選び方と、睡眠の質を上げる小さな工夫をまとめて紹介する。
■なぜ脊髄損傷だと“睡眠の質”が落ちやすいのか?
まず前提として、脊髄損傷では自律神経の働きが乱れやすい。
その結果、
- 身体がリラックスしづらい
- 体温調節がうまくいかない
- 同じ姿勢で長時間寝るのがしんどい
- 圧迫による痛みや不快感が出る
という特徴がある。
つまり、健常者向けの寝具では合わないことが多い。
■1. マットレス選びのポイント:硬すぎ→痛い/柔らかすぎ→沈む
車椅子生活では背中や腰、骨盤に負担がかかりやすいから、マットレスは「硬さ」が命。
▼おすすめの硬さ
“やや硬め”〜“中間の硬さ”
柔らかすぎるマットレスは沈み込みが強く、体を起こすときに力が必要になり疲れる。
逆に硬すぎると骨が当たって痛い。
▼確認すべきポイント
- 寝返りがしやすいか
- 体が沈み込みすぎないか
- 腰・骨盤が浮かないか
- 30分横になって違和感がないか
マットレスは「3分間の試し寝」は参考にならない。
最低でも30分横になりたい。
■2. ウレタン or コイル? → 脊損には“ウレタン”が合いやすい
✔ウレタン(高反発)
- 体を持ち上げてくれる
- 寝返りがしやすい
- 骨盤が安定する
- 脊損で姿勢が崩れやすい人向け
✔コイル(ポケットコイル)
- 体圧分散に優れる
- 快適だが沈み込みやすい商品も多い
- ベッドからの起き上がり動作が少し大変になることも
結論:
車椅子生活との相性で考えると高反発ウレタンが扱いやすい。
■3. 体圧分散は“寝た瞬間より、朝起きたとき”で判断する
脊髄損傷者は、特定部分に圧がかかり続けると痛み・しびれにつながる。
体圧が分散されているかどうかは、朝のこの感覚でわかる:
- 骨盤が痛くない
- 背中が重くない
- 足や腰にこわばりがない
- 朝起きたときの“疲れ残り”が減っている
特に骨盤周りの感覚はわかりやすい。
■4. 枕は「低め」で“首・背中・呼吸”が安定する
車椅子生活だと、日中の姿勢で首が前に出てしまいがち。
高すぎる枕はさらに呼吸が浅くなり、睡眠の質を落としてしまう。
▼枕選びのコツ
- 高さは低め〜中間
- 横向きに寝たときに首が一直線になるか
- 柔らかすぎない素材
- 洗える枕だと衛生的
特に「呼吸がしやすい姿勢」かどうかはかなり重要。
■5. 抱きまくら & 脚まくらは“姿勢固定”に強い味方
脊髄損傷者は姿勢が不安定になり、寝返りもスムーズにいかないことがある。
そこで役立つのが 抱きまくら や 脚まくら。
✔メリット
- 身体の傾きを防いで楽に寝られる
- 肩や腰の負担軽減
- 呼吸がしやすい姿勢をキープ
特に横向きで寝る人には必須レベル。
■6. シーツは「滑りにくい素材」を選ぶと移乗が安定
移乗時にベッドが滑るのは危険。
コットン系の“滑りにくいシーツ”の方が安心感がある。
- 綿素材
- 起毛のある素材
- シワができにくいもの
逆にサテン素材やつるつるしたシーツは危ない。
■7. 深部体温をコントロールすると眠りが深くなる
脊損後は体温調節が苦手な人も多い。
そこで重要なのが「寝る前の体温コントロール」。
▼おすすめルーティン
- 寝る1時間前に軽くストレッチ
- 足首・ふくらはぎを温めておく
- 温度調整しやすい薄手の毛布を使う
- 加湿器で湿度を50%前後に保つ
身体が自然と“寝るモード”に入りやすくなる。
■8. 寝つきを良くする小ワザ(僕が効果があったもの)
- 寝る2時間前からカフェインを控える
- 寝る前のスマホをやめる(これだけで変わる)
- 寝る直前に水を飲みすぎない
- 腹式呼吸で心拍を落ち着ける
- 電気毛布ではなく“湯たんぽ”のほうが体に優しい
小さな工夫だけど、積み重なると確実に睡眠の質が変わる。
■まとめ:寝具は“身体の延長”。正しく選べば翌日が変わる
脊髄損傷の身体は、健常時と負担のかかり方が全く違う。
だから寝具も “普通向け”ではなく“あなた向け” を選ぶ必要がある。
でも、寝具が合うと本当に生活が変わる。
- 朝の痛みが減る
- 動き出しが軽い
- 日中の疲れが溜まりにくい
- 気持ちにも余裕ができる
睡眠は「気合い」ではどうにもならないけれど、
寝具で“体を助ける”ことはできる。
あなたの夜が、少しでもラクで優しい時間になりますように。

